平成生まれの寡黙OLが昭和アットホーム企業で働く

存在しないスメハラ―平成寡黙OL@昭和アットホーム企業

平成生まれの寡黙OLが昭和アットホーム企業で働く

スメルハラスメントって言いたいだけ?

「隣の席の蜜さんってさ、香水つけてるじゃない?エモトさん近くにいるしさー、匂いがキツくて困ってない?」

ある時、藤森さんに呼び出されて入った会議室で、こんなことを言われた。

そういえば先日、柴田さんと藤森さんが自席で声を潜め、人のニオイの話をしていたな、と思い出す。

別に私は鼻が悪いわけではないと思うが、藤森さんに対する回答としてはこのように言うしかなかった。

「蜜さんは香水をつけているんですか。気付きませんでした。匂いも感じたことはありません。」

「そーう?それならいいんだけどほら、最近スメハラ? ス メ ル ハ ラ ス メ ン ト とかってあるからさー」

二人が小声で話していたとき、私の隣の蜜さんは席を外していたと思う。蜜さんの話になっていたとは気付かないほどの声量ではあったものの、何について話しているかは聞こえるボリュームだった。

そして今、面と向かって、あれは蜜さんの話だったのだと種明かしをされている。

蜜さんは柴田さんとよく雑談をしていたし、藤森さんともそれなりに仲が良さそうに見えていたのだが、実は二人は蜜さんのことをあまりよく思っていないのかもしれないと思った。

少なくとも、匂いが気になった時点で「香水つけすぎじゃない?」と伝えることはせず、小声でこそこそと噂したり、裏で「スメハラじゃない?」と言ってみたりできるくらいの、思いやりのない態度を取れる相手だったのだ。

蜜さんの匂いは、私があまり使わない倉庫室や化粧室に残っていたりするのかもしれないが、毎日隣60~70cmに座っていても感じ取れないくらいのものである。

ということで私は、二人が蜜さんの匂いを気にしてしまうのは、蜜さんと親しく振舞う中での接近か、蜜さんへの嫌悪感に原因があるのではないかと思っている。

嫌いなら近付かなければいいし、近付きたいけれども気になるというのなら伝えればいい。何も言わないなら、仲間内でヒソヒソ話をするなんて卑怯だ。と思うのだが、どうやらこの昭和アットホーム企業では通用しない感覚らしい。

そういうことなら、蜜さんの香水よりも、藤森さんが自席で歯磨きをしている時に、斜向かいの席の私にまで届く歯磨き粉の匂いの方が、よっぽどハラスメントだ。香水は人前でも香らせるものだが、歯磨きは人前でするものではないではないか。

なんてことを、寡黙OLの私が藤森さんに伝えるわけもなく、その場は「香水の匂いは気になりません」というだけで終わりになった。

ちなみに先日、蜜さんは「見て、3階に置いてあるお花が満開だったの」と、スマホで撮った赤い花の写真を見せてくれた。

実は私は、この昭和アットホーム企業の中で、蜜さんに対してだけは少し好感を持っている。”癒し”と言うべきふわっとした雰囲気に加えて、私の聞こえる範囲では害のある会話を発したり参加したりしないからだ。

だから、蜜さんの香水は、柴田さんや藤森さんではなくて、私にだけ漂ってくればいいと思う。きっと私はその香りを好きになるのに。

締めの宣伝

私が歌担当として活動する”めおとロックバンド”ヌレセパの宣伝タイムは、ブログ記事がどんなに綺麗に終わろうと必ず付いてくる。そろそろ慣れてもらえただろうか。

今回紹介するのはMVごっこナンバー004、『サンデイモーニング』。まさに昭和アットホーム企業で働く私にピッタリな、平日イヤ!来たれお休み!という曲である。

この世のすべての働く大人に届けたい。もちろん、仕事が好きで、平日も楽しくてたまらない人もいるのだろうけれど。

ちなみにこのどぎついメイクをしているのも20歳の私エモトモエだ。お気付きのようにこの”締めの宣伝”では、ヌレセパの㎹ごっこを古い順に紹介している。